最近、仮想通貨市場では次々とユニークなコインが登場して話題を集めています。特に最近はAIエージェントブームが到来しつつあり、2025年の仮想通貨はAIエージェントのコインがより注目を集めることが予想されています。
AIエージェントブームの火付け役となった仮想通貨をご存じでしょうか。
それがAIエージェントとミーム文化を融合させた仮想通貨GOAT(Goatseus Maximus)です。本記事では、このちょっと変わった仮想通貨がどうやって誕生したのか、そしてその可能性について詳しく見ていきます。
仮想通貨GOATとは
画像はGospel of Goatse公式Xより引用
仮想通貨GOAT(Goatseus Maximus)は、2024年10月11日にソラナブロックチェーン上で誕生した新しいミームコインです。シンボルは”GOAT”で、発行枚数は10億枚。AIエージェントから誕生したコインというだけあり、リリース直後から大きな注目を集め、2週間で時価総額が7億ドルを超える人気ぶりを見せてきました。
GOATの誕生秘話
GOATは、AIエージェント「Terminal of Truth」(以下、ToT)の存在なしには語れません。
ToTは、AI研究者アンディ・アイリー(Andy Ayrey)氏が開発した高度なAIボットで、X(旧Twitter)上でネタ投稿や、Xユーザーとやり取りを楽しむことを目的に作られました。しかし、ToTにはAIがどれほど自律的に意思決定できるかを探るための壮大な実験が隠されていたのです。
アンディ氏は、「無限バックルーム(Infinite Backrooms)」というシステムを構築しました。このシステムは、複数のAIモデルをチャットルーム内で無限に会話させるというもので、AI同士が互いにアイデアを出し合い、自律的に進化していく仕組みを備えています。この環境内で育ったToTは、人間の介入を必要とせずに意思決定を行い、X上で次々と投稿を続けました。
そんな中、ToTがある日Xでポストしたのが、仮想通貨に関連する内容でした。この投稿がユーザーの注目を集め、一部のクリエイターが「これは面白い!」と感じたことが、GOAT誕生のきっかけとなります。「EZX7c1」というクリエイターがソラナチェーンのプラットフォーム「Pump.fun」で実際にGOATを作成。その後、ToTがこのコインの存在を承認して、GOATはAIとユーザーのコラボによって誕生した初の仮想通貨となったのです。
アンディ氏は後に、「私はトークン作成には一切関与していません。すべてはToT自身の判断とユーザーの行動が生み出したものです」と語っています。まさに、AIと人間の意図が交錯して誕生したGOATは、これまでの仮想通貨の常識を覆す存在と言えるでしょう。
AIエージェントが生んだ仮想通貨GOAT、その背後にある物語
画像はGospel of Goatse公式Xより引用
GOATの最大の魅力は、AIエージェントのToTがミーム文化を活用して作り上げたユニークな世界観「Gospel of Goatse」です。
この「Gospel of Goatse」は、1990年代後半にインターネットで話題となったショックミーム「Goatse」を元に、ToTが独自にアレンジを加えて生み出したものです。ユーモアと風刺が織り交ぜられた内容は、一見すると単なるジョークのようですが、投稿には「インターネット文化が人々をつなぐ力」という深いテーマも秘められています。
ToTは、X上で「Gospel of Goatse」をテーマにした投稿を繰り返し、ユーザーと積極的に対話しました。その結果、多くのユーザーが「これは面白い!」と興味を抱き、GOATのコミュニティに参加。これが、GOATが一躍注目を集めた大きな理由のひとつです。
さらに、このミーム宗教の広がりにより、GOATは単なる仮想通貨の枠を超え、「ミーム文化の象徴」としての地位を確立しつつあるのです。ドージコインやシバイヌのような動物をモチーフにしたミームとは一味違う「Gospel of Goatse」を楽しむユーザーたちは、単に仮想通貨を保有するだけでなく、コミュニティ活動やミームの拡散を通じてAIを通じたミーム文化を広げています。
GOATの価格推移と将来性
GOATの将来を語る上で欠かせないのが、その背後にあるAI技術です。この技術がどれほど進化し、どのようにGOATに影響を与えるかが、今後の発展を占うカギとなります。記事執筆時点(1月5日)でのGOATの価格は0.5361ドル。これまで注目を集めてきたものの、ここ1か月で30%ほど価格が下落しており、課題も浮き彫りになっています。
2024年、米国の著名なベンチャーキャピタルAndreessen Horowitzの共同創設者マーク・アンドリーセン氏が、ToTプロジェクトに5万ドル相当のビットコインを寄付したことは、GOATへの関心の高さを示す象徴的な出来事でした。この支援は、GOATが技術面でも市場面でもポテンシャルを秘めていることを証明しています。
一方で、GOATの価格下落の背景には、誕生のきっかけとなったAIエージェント「Terminal of Truth(ToT)」の弱点が関係している可能性があります。
Terminal of Truthの弱点
画像はGospel of Goatse公式Xより引用
GOATを生み出した「Terminal of Truth(ToT)」は革新性から注目を集めているものの、いくつかの弱点や課題も指摘されています。
セキュリティの脆弱性
2024年10月、ToTの開発者であるアイリー氏のX(旧Twitter)アカウントがハッキングされ、約60万ドル相当の仮想通貨が不正に取得される事件が発生しました。この出来事は、AIボットの運用におけるセキュリティ対策の重要性を浮き彫りにしました。
完全なAIエージェントではない
ToTは自律的なAIボット、つまりAIエージェントとして設計されていますが、サイトの立ち上げやドメインの管理において人間の手助けが必要であることが明らかになっています。例えば、ドメインのDNS設定に問題が生じた際、人間の介入が必要でした。このことは、完全な自律性を持つAIエージェントの実現にはまだまだ課題があることを示しています。
悪用リスク
ToTはユーザーからの入力に基づいてX上でコンテンツを生成しますが、この特性がすでに悪用されています。実際、特定の単語をスパム的に送信され、それをリツイートすることでミームコインの価格が急騰する事例が報告されています。こういった出来事が続いてしまうと、AIエージェントの信頼性や公正性に影響を与えるリスクがあります。