この記事では、NFT(非代替性トークン)の代名詞であるコレクティブNFTについて解説していきます。本文でも解説しますが、コレクティブNFTはNFTブームの火付け役となったNFTの一種です。
近年、話題になったものでは2022年7月にフリーミントされたばかりのNFTプロジェクト「The Saudis(サウディス)」がありますが、これもコレクティブNFTの一つです。
非常に個性豊かなものが多いコレクティブNFTですが、定義としては、
自身のアイデンティティを表現するアイコンや、好きなコレクションや美術品といった意味で購入されるNFT
になります。以下でより詳細にコレクティブNFTについて深掘りしていくので最後までお付き合いいただければと思います。
▼この記事を読むメリット
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コレクティブNFTの定義
コレクティブNFTとは?
コレクティブNFTとは、自身のアイデンティティを表現するアイコンや、好きなコレクションや美術品といった意味で購入されるNFTのことを指します。
つまり、珍しいものコレクションすることを目的としたNFTと言って良いでしょう。そのため、投機的な目的で購入する場合が非常に多いのがコレクティブNFTの特徴です。
さらに、コレクション性が高く、シリーズ化されていることも非常に重要になります。
また、近年では、コミュニティの形成と活性化が非常に重要になってきています。コミュニティがしっかりしていて保有することでステータスとなるコレクティブNFTは値崩れしにくい傾向にあります。
NFTを購入することでコミュニティーに入ることができ、さらに保有者のみが参加可能なイベントやパーティーが参加できるなどのメリットを提供しているものが多くあります。
希少性にこそ価値がある
そもそも、NFTは非代替性トークンといい、ブロックチェーン技術を通して唯一無二性を付与されたデジタルデータのことを指します。
そのため、コレクター系の人が欲しがる「希少性の高いもの」への相性が非常に良いと言えます。
そのため、コレクティブNFTは初期から人気のジャンルの一つです。
実際に、コレクティブNFTはNFTブームの火付けとなり、唯一無二性によって生み出される希少性に、資金が集中しました。
NFT化された、一見なんの価値も無いデジタルデータでも、投資家たちに「将来的に価格が高騰する」と期待されたことが要因だと考えられます。
そのため、コレクティブNFTを火付け役としたNFTブームはどうしても投機的な様相を呈してしまっています。
コレクティブNFTが生まれた背景
2020年から始まったNFTブーム
NFTが市場規模が拡大したのは2020年から2021年頃からです
2018年には4096万ドルでしたが、2020年には3億3803万ドルにまで膨れ上がっています。
【参考資料】
Our 2021 NFT Yearly Report is out!「NonFungible」
その一方で、一つのNFTを1人が保有している期間が2021年になると一気に短くなっています。これは、短期的な価格の上下から利益を得るために、NFTを短期間で売買しているためと言えるでしょう。
NFTの各カテゴリーの様相
そもそもNFTには、以下のようにさまざまなカテゴリーがあります。
- コレクティブ
- スポーツ
- アート
- ゲーム
- メタバース
そもそも、NFTとは唯一無二性をブロックチェーンを通して付与されたデジタルデータのことです。デジタルデータであればどの領域でも適用することができます。
それは、ゲームであれスポーツ、メタバース幅広い領域に及んでいます。この中でもコレクティブNFTは取引回数36万回と他のNFTカテゴリーを圧倒しています
引用元:nonfungible.com/
そもそも、NFTが登場した当初は、ユーザーの購入する動機が投機的な性質を帯びていました。つまり、NFTブームの機会を利用してうまく利益を得ようとする人が多かったということです。
こうした、背景を元に生まれたのがコレクティブNFTです。投機的というとネガティブな印象を受けるかもしれませんが、NFTの認知の高まりは、確実にこうした投機熱が貢献していると言えるでしょう。
特にNFTブームの火付け役である次に解説するCrypto PunksというプロジェクトもコレクティブNFTに分類されます。
コレクティブNFTの事例
Crypto Punks(クリプト・パンクス)
NFTが技術的に可能になってから、その火付け役になったのは、Matt HallとJohn Watkinsonが2017年7月に実験的にリリースしたCrypto Punks(クリプトパンクス)というプロジェクトです。
以下の写真が、Crypto Punksが出しているNFTアートです。
ピクセル画像で、アルゴリズムでさまざまなバージョンが生成される点が話題になりました。これはジェネラティブNFTの一種になります。
ジェェネラティブNFTは、アルゴリズムによって複数のパーツを自動的に組み合わせて生み出されるNFTです。
ジェネラティブNFTと表現され、人の手によってデザインを完成させるのではなく、アルゴリズムによって複数のパーツを組み合わせて生成するNFTをいう。
出典:NFT用語集
リリース当初は無料で配布されていましたが、近年のNFTブームによって20万ドルほどに値上がりをしています。
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HashMask(ハッシュマスク)
Hash Marks(ハッシュマスク)は2021年1月に開始されたデジタルアートのプロジェクトの総称です。
開始からわずか1週間で約900万ドルという巨額の収益をあげました。ただ、ローンチ当初に発行されたNFTは完売しています。引用元:thehashmasks.com
Hash Maskの特徴として、購入者が名前をつけることができるということです。これを名前変更トークン(NCT)と呼ぶこともあります。
そもそも、Hash Maskの作品には、名前がありません。そこで、購入者は自分で名前をつけることができるのです。これは、他にはない特徴です。
また、名前が常に変更され続けることによって、希少性が時間と共に変化する点もコレクティブNFTとして非常に興味深い点と言えるでしょう。
Bored Ape Yacht Club(ボアード・エイプ・ヨット・クラブ)
Bored Ape Yacht Club(ボアード・エイプ・ヨット・クラブ)、略してBAYCは、猿をモチーフにしたNFTコレクションです。
発行主体は、2021年8月創業のフロリダ州マイアミに拠点を置くYuga Labsです。
BAYが特徴的なのは、Crypto Punksと同様にコレクティブNFTの中でもジェネラティブNFTと呼ばれる種類のものだからです。
ジこのアルゴリズムが生み出す規則性からコレクティブNFTとしての希少性が生み出されるのです。2021年4月現在、Ethereum(イーサリアム)上で10000点限定で発行されています。
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The Saudis(サウディス)
近年、話題になっているコレクティブNFTの一つには、冒頭でもお伝えしたNFTプロジェクト「The Saudis(サウディス)」があります。
2022年7月にフリーミントされたばかりですが、1日も経たずにフロア価格が一時1ETHを超える盛り上がりを見せています。
その名前の通り、中東のサウジアラビア発のNFTプロジェクトです。ただ、サウジアラビア政府が運営している訳ではなく、あくまでサウジアラビアのお金持ちが運営しているNFTプロジェクトです。
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コレクティブNFTの今後の展望
Crypto Punksを嚆矢に、現在に至るまでにさまざまなコレクティブ系のNFTプロジェクトが生み出されています。今後も、さらに多様なコレクティブNFTが生み出されてゆき活況を呈していくのではないかと著者は考えています。
実際に最近生み出されているコレクティブNFTのアートとしての幅の広さには、思わず驚きが隠せません。
例えば、Azukiは非常にスタイリッシュで洗練されている様が思わず手を伸ばしたくなります。
AzukiプロジェクトではPEP(Picture For Profile)と呼ばれる主にTwitterアイコンで使用されることを想定したコレクションを出しています。リリース後にはOpenseaの総取引量のランキングで上位に位置しています。
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一方で、Goblintown.wtf(ゴブリンタウン)はお世辞にもスタイリッシュとは言い難いデザインです。しかも、Goblintown.wtfには、ロードマップもなければ、ユーティリティ(実用性)も、Discordも、メタバースもありません。
今のところ、誰が何の目的で始めたプロジェクトなのか全くわからないヤバさ具合です。
ただ、Goblintown.wtf(ゴブリンタウン)の醜さにはWeb3時代の非中央集権性を体現しているようにも思えてきて、一周回って美しく見えます。
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— goblintown.wtf (@goblintownwtf) May 22, 2022
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NFTのGoblintown.wtf(ゴブリンタウン)とは|ロードマップや実用性なし!型破りNFTの全貌と人気のワケ
このようなコレクティブNFTの多様性の広がりは、今後もとどまることはないのではないかと考えています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?コレクティブNFTとは、自身のアイデンティティを表現するアイコンや、好きなコレクションや美術品といった意味で購入されるNFTのことを指します。
NFTブームの火付け役でもあるコレクティブNFTは、現在もとどまることなく多様な種類が出現してきています。いわばカオスといっても良いでしょう。
ただ、このカオスこそがWeb3.0時代のこれからを象徴しているのではないでしょうか?